ごあいさつ

今、医療は先端医療と云われる遺伝子治療あるいは放射線を用いた治療等様々な形での急速な発展をみております。その様な中で、人間の命あるいは人の健康といったものをどの様に維持していくかということが大きな問題となっております。特に本邦では急速な人口の高齢化に伴い先端医療と人の健康との関係をどう適切に保つかが医療の重要な課題となっています。高齢者でとくに問題とされているのは脳梗塞や痴呆などとされていますが、実は生活習慣病と深く関連しています。すなわち、高血圧、糖尿病、脂質異常症などです。しかし私達を取り巻く様々な状況が、必ずしもその様な生活習慣を簡単に是正しうるものではないということも事実ではないでしょうか。その様な中で日本は明治以来それまでの医療の主流であった東洋思想を包括した医療体系、あるいは今現在東洋医学と呼ばれている日本古来の医療というものを隅に追いやり西洋から急速に医学を導入しました.とくに歴史的にみると良く知られている様に、日本では医療の導入が国民の健康ということよりも国家というものを基礎に置き、戦争あるいは工業や農業生産というものの中で人の命あるいは病気が論じられてきました。したがってその様な社会を支える医療の仕組みとして全国に国立大学、さらにそこに附属する病院が造られました。それらは一方で難しい病気を研究するということで、正に人間を、言葉は悪いですがモルモットにするという様な形での医学への発展が求められてきました.このような医学・医療が明治以来終戦まで続けられてきました。その後終戦により急速に日本では経済発展がみられるようになり、さらに様々な新しい考えが主として米国から導入され、事実国民の生活も豊かになってきました。逆に先程述べた様な生活習慣の西洋化に伴い多くの病気を生み出すことになっているのも現実ではないでしょうか。ここ50年以上に渡って続いてきた西洋医学中心の医療というものに大きな疑問が持たれる様になってきました。実は、これは日本だけに限られたことではなく、欧米でも西洋医療一辺倒というものではなく、伝統医療の中から、人の健康に役立つ医療を見つけようということで、補完代替医療という形で精力的に研究がはじめられております。御存知の様にアメリカでは伝統医療の歴史というものが無い国ですから、当然世界各国からその様なものを拾い集めています。翻って日本では明治以前から、漢方、鍼灸などの医療が引き継がれてきました。さらに、最近ではそれらに加えて様々な治療形式が医療に果たす役割も大きいことが認められる様になりました。そこで、今日的状況を的確に捉え日本統合医療学会は渥美和彦理事長の下結成され、現在各地で啓蒙運動も含めた学会、集会を開いております。

今回、埼玉で第15回日本統合医療学会を開催することになりました。今回のテーマは、“国民の健康に統合医療が果たす役割を探る”ということで、とくに生活習慣病を取り上げ、西洋医学と東洋医学を巧みに取り込んだ統合医療を構築すべく医療にかかわるすべての方々の参集の下、活発に討議し多くの成果を実感できる大会にしていきたいと考えております。 

平成23年3月31日
第15回 日本統合医療学会
大会長 鈴木 洋通(埼玉医科大学 腎臓内科)

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